電験とは何だろう?
電気業界やビルメン業界で必要な資格、電験三種について紹介してみたいと思います。
電験三種というのは略称で、正式名称は第三種電気主任技術者試験になります。
かなり難しいとか、持っていれば一生安泰だとか、独立できるなど、色々言われていますが、とりあえず概要について説明します。
■電気主任技術者とは
電気事業法第43条では、「事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、主務省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない。」(条文引用)とあり、その業務にあたるために必要な資格です。
■資格の範囲
電気主任技術者には、第一種、第二種、第三種と分かれており、電圧階級に応じて資格が必要になります。
第三種では、電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物の工事、維持及び運用の保安監督を行うことができます。
第二種では、電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物の工事、維持及び運用の保安監督を行うことができます。
第一種では、すべての事業用電気工作物の工事、維持及び運用の保安監督を行うことができます。
このように、第一種を取得すれば、すべての電気工作物を扱えるようになりますが、三種や二種に比べれば、当然試験内容は難しくなります。
■試験内容
電気主任技術者試験(電験)は理論・電力・機械・法規の4科目からなり、マークシートによる五択問題が出題されます。
出題範囲は、次のとおりです。
理論 電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測
電力 発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料
機械 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理
法規 電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理
(法規は、電気設備の技術基準の解釈からも出題されます)
各科目、試験問題は、A問題とB問題に分かれています。
A問題…1つの問題に対し、1つを回答する方式
B問題…1つの問題に小問2つが設定され、それぞれの小問に対して回答する方式
なおB問題は小問1問目が2問目のヒントになるため、1問目が回答できないと2問目の回答は難しいですが、1問目は比較的やさしい問題の場合が多いです。
■試験制度
前述の通り、電験は4科目から出題され、4科目すべて合格すれば資格取得となります。4科目のうち一部だけ合格した場合は、「科目合格」となり、2年間その合格が有効です。したがって、3年間で4科目合格すれば資格取得となります。
■難易度
各科目100点満点で出題されます。至近5年間の合格基準点および4科目合格率(1年で4科目合格)は以下の表のとおりです。
|
理論 |
電力 |
機械 |
法規 |
4科目合格率 |
2019 |
55 |
60 |
60 |
49 |
9.3% |
2018 |
55 |
55 |
55 |
51 |
9.1% |
2017 |
55 |
55 |
55 |
55 |
8.1% |
2016 |
55 |
55 |
55 |
54 |
8.5% |
2015 |
55 |
55 |
55 |
55 |
7.7% |
表のとおり、どの科目も60点(60%)以上獲得できれば、合格となるようです。また4科目合格率は10%を超えたことはないため、難しい資格試験の部類であると思います。
■試験日程
|
2020年度 |
例年 |
申込日 |
5月26日~6月11日 |
5月下旬~6月上旬 |
試験日 |
9月13日(日) |
9月第一週の日曜日 もしくは 9月第二週の日曜日 |
解答公表日※1 |
9月14日(月) |
試験日翌日 |
結果送付日※2 |
10月23日(金) |
10月下旬 |
※1:電験三種の場合、解答速報がオーム社など参考書出版社から当日公表される場合があります。
※2:合否確認は電気技術者センターホームページから、受験番号を入力することで確認することができます。
■申込方法
①インターネットによる申し込み
電気技術者センターホームページから申込することができます。受験手数料は、クレジットカード決済、コンビニ決済、ペイジー決済、銀行振り込みのいずれかから選択できます。
受験手数料:4,850円
②受験申込書兼払込取扱票(書面)による申し込み
申込書を書店や産業保安監督部にて入手して、手書きで申込書を記入します。受験手数料は、ゆうちょ銀行で納付してください。
受験手数料:5,200円
試験は比較的難しいですが、受験料は安く設定されています。
電験三種は3年間で4科目合格すれば資格取得となりますので、3年計画で合格を目指す人にとって、受験料が安いのはありがたいですね。
わずかな違いですが、インターネット申し込みを選んだほうが受験手数料は安く上がりますし、インターネット申し込みなら自宅のパソコンから全て行えるので簡単です。